逆行者 第四話

written by まちす




「わー、綺麗な花畑だぁ」

 一面に広がる様々なお花さんたち。
 そのどれもが美しさを競い、咲き乱れている。

「わあーい、蝶々だあー。蝶々さん、待てー」
「ちょっ、横島君! 横島君ったら!」

 蝶々さんを追いかけて、お花畑を走っていると、不意に左腕に人の重さを感じる。
 俺の左腕を掴んで揺さぶっているその人は、俺がずっと追い求めていた、あいつだった。

「なんだ……ルシオラじゃないか。こんな所に居たんだな」
「え!? ちょっと、戻ってきなさいよ」
「お、いつの間にこんなにおっぱい大きくなったんだ、こいつぅー」
「んっ、こら! どこ触ってんのよ、この馬鹿!!」

 ルシオラとも逢えたし、俺の旅ももう終わりだな。
 そんな事を考えながら、ルシオラの胸に顔をうずめ、すりすりする。
 あぁー幸せやなぁー、僕は君とこうしている時が一番幸せなんやぁー。

「こらっ! さっさと戻って来い!! こん、エロガキ!!」
「ぐおうっ!?」

 ルシオラの胸と戯れていた俺の腹に拳がめりこむ。
 彼女から離れ、痛みに耐えながら顔を上げると、そこには真っ赤な顔をした美神さんがいた。

「……あれ? ルシオラは? お花畑は? 蝶々は?」
「あんたね、オ○ニー覗かれたくらいで現実逃避してんじゃないわよ、もう!」

 溜息混じりに話す美神さん。
 ちくしょう、やっぱり夢じゃなかったか。
 わかってた、わかってたよ、こんちくしょう。

「オ○ニー覗かれたことのない人にはわからないっすよ。この恥ずかしさは……」
「でも、あんたって結構どこででも裸になってるじゃない? 平気かと思ってたのよ」
「オ○ニーと裸、見られるのと見せる。全然違いますよ」
「あ、やっぱり?」

 開き直ったのか、堂々と話す美神さん。
 このネタでずっとからかわれるような気がしてきた。
 なんとか無かったことにできんもんかな?
 記録をぶち壊すか? それでも見た人の記憶には残るんだよな……だめか。

「覗いてたのは悪かったわ、ごめん。でもほら、若いんだしさ、気にしない気にしない、ね」

 でもそうなると、見てた人間の記憶を消すしかないのか……面倒くさいな、それは。
 ……美神さんがなにやら言っているが聞こえないぞう。聞こえないんだい。

「それに、あんたのって結構、その、さ。……立派らしいしさ、あはは、何言ってんのかしらね、私。あはは」

 ほんと、消えてなくなりたい。それで監視される前に再生されたいよ……。
 ……ん? ……監視される前に……再生される?

「そうだ! その手があるじゃないか!!」
「……は?」

 俺に殴りかかったポーズのまま、唖然とした顔の美神さん。って危ないな、おい。
 だが、そんな事を気にしている場合じゃない。
 これさえ上手くいけば、俺は己の恥を雪ぐことができる。
 オ○ニーを覗かれずにすむ!!

「美神さん、俺もう一回逆行します!!」
「……は?」

 唖然とした顔から一転、疑問顔になる美神さん。

「だから、監視される前に戻るんですよ。そうすれば色々覗かれずにすむじゃないですか」
「……あー、残念だけど、それ無理」


  コメント
 第四話です。色んな意味で微妙なヒキです。早いうちに五話をアップします。
 て言いますか、なんと言いますか、私っておっぱいと戯れるの好きだなぁ。
 ということを再確認。…自覚はあったんですよ。


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